「テクノロジー×データで地域を変える!」AIビジネス活用講座基調講演+AI活用ワークショップ

2022年2月5日(土曜日)、オンラインにて「AIビジネス活用講座基調講演+AI活用ワークショップ」を開催しました。

本イベントは、今年度開催のAIビジネス活用③講座「経営層向けAIハンズオンセミナー」「AIリテラシー講座」「AIエンジニア育成講座」の受講生を対象に、講座の締めくくりとして、Code for Japan代表理事である関治之氏をお迎えし、「テクノロジー×データで地域を変える!」というテーマでお話していただきました。

そして、講座の後半では、aiforceSolutionsの高橋蔵人氏による「AI活用ワークショップ特別編」を開催しました。その様子をレポートしていきます。

はじめに

主催である高知県商工労働部産業デジタル化推進課長濱田より、挨拶がありました。本年度の講座の成果として、高知県内におけるG検定の有資格者数が伸びており、AIをビジネスに活かす知識を持った人材が増えているという紹介ありました。

また、次年度のデジタルカレッジでは、AIに関する知識や、普段の仕事に生かすためにITリテラシーを高めていく講座も予定しているとのことです。

基調講演/関 治之氏

講座の前半は、Code for Japan代表理事の関治之氏に、「テクノロジーxデータで地域を変える!」をテーマに基調講演をしていただきました。

今回はslidoというライブ投票型のアンケートツールを使って、受講者から意見や質問を収集しながら、講座を進めていきました。

【質問】シビックテックという言葉を聞いたことがありますか?

早速、関氏から最初の質問がありました。

「シビックテックという言葉を聞いたことがありますか?」

これに対する皆さんの回答はこちら。

新しい言葉なので「初めて聞いた」という方が多かったです。

シビックテック(Civic Tech)とは、「シビック(Civic=市民)」とテック(Tech=テクノロジー)をかけあわせた造語で、市民が行政サービスの問題や社会課題を解決する取り組みを指します。

なぜシビックテックが必要なのか

従来のような中央集権型の行政システムは、

  • 変化に弱い
  • 一つの組織にノウハウが溜まる
  • 利用者側は手を出せない

といった課題があります。

この課題を解決するには、シビックテックやオープンガバメントが必要です。

上図のように自治体間で情報共有したり、市民がサービス作りに積極的に関わるような動きがないと良いサービスは生まれないという考えから、Code for Japanが立ち上がったそうです。

自治体も市民も企業もNPOも一緒になって、社会課題にチャレンジしていく「共創型モデル」を作り上げるために、Code for Japanがテクノロジーやデータの活用を推進していくとのことでした。

地域や社会の課題解決に興味を持ったきっかけ

もともと地域や社会の課題解決にあまり関心を持っていなかった関氏が、現在のような活動をすることになったきっかけは、2011年3月11日に発生した東日本大震災だったそうです。

当時、一緒にいた仲間たちと『sinsai.info』というサイトを立ち上げ、ボランティア活動をしている人たちが「今、どこで、何が起きているか」を調べて、地図上にマッピングし、震災情報を共有できるようにしました。

このサイトの閲覧数は数万件以上にものぼり、実際に多くの方に使われていました。

▼こちらが実際の画面です。

しかし、実際に被災地の現場へ行くと、このサイトを知っている人はほとんどいなかったそうです。

このときに関氏は、

良い技術を開発していれば、人々はどんどん幸せになる」と思っていたけど実際はそうではなかった。

逆に技術やインターネットによって、人々が分断されているのではないか。

本当に技術は人を幸せにするのだろうか。

と感じ、その後もこの問いを自身に投げかけ続けました。

それでもなお「技術がちゃんと使われるようにしていきたい」という想いがあったため、テクノロジーを地域のために活用していくための活動を始めたそうです。

Code for Japanが関わっているプロジェクト例

では、ここからはCode for Japanが実際にどのような活動を行なっているのか、その事例をご紹介していきます。

①東京都新型コロナウイルス対策サイト

まずCode for Japanの代表作といえるのが、東京都の新型コロナウイルス対策サイトです。

このサイトのソースコードはGitHub上で公開されており、いろんな方から意見が寄せられています。その意見を元に改善を行い、日に日に良くなっているとのことでした。

また、公開されたソースコードをコピーして、東京都以外の地域でも似たようなサイトが作られていったそうです。

②市民エンゲージメントツール『Decidim』

『Decidim』とは、バルセロナで生まれたオープンソースの市民エンゲージメントツールです。

具体的にいうと、

  • まちづくりの戦略立案
  • 計画立案
  • ディスカッション
  • 予算編成
  • 署名活動

これらの活動に市民が参加できるようになります。

Code for Japanは、このDecidimを日本語にローカライズして、国内の自治体への提供を行っています。

2020年10月に兵庫県加古川市で初めて導入され、地元の高校生を含む200名が参加し、約300ものコメントが集まりました。

そのほか、福島県西会津町や神奈川県横浜市でも導入され、徐々に広がりはじめ、現在では180以上の組織で利用されています。

③渋谷に関わりのあるみんなが集い語らうサイト『shibuya good talk』

博報堂と三井物産が連携してスタートさせた、渋谷スマートシティ計画の1つとして『shibuya good talk』というサービスが立ち上がりました。

Code for Japanはプラットフォームを提供する形で参画しています。

『shibuya good talk』は、渋谷に関わりのあるみんなが集い、語り合う場所です。

オンラインのディスカッションボードを利用し、さまざまなテーマについて自由に話し合い、ときにはアイデアを発想し実現に向けて挑戦することもあります。

興味がある方は、下記のURLからサイトを覗いてみてください。

▶︎『shibuya good talk』

ワークショップ&E検定の勉強会/高橋 蔵人氏

講座の後半では、株式会社aiforce solutions取締役 COO・高橋蔵人氏によるAI活用について理解を深めるワークショップと、E検定の試験を控えている方向けの質問会を行いました。

講座の内容

  • 講師/aiforce solutionsの紹介
  • これからの時代、なぜAIが必要とされているのか?DXとAI
  • AIをビジネス活用するためのAIの理解(AIでできること)
  • 【ワークショップ①】世の中のAIを分解してみよう!
  • 【擬似体験】AI予測モデルを作ってみよう!
  • 【ワークショップ②】みなさんの業務の課題はAIで解決できるのか?!

講師/aiforce solutionsの紹介

高橋氏は、株式会社aiforce solutionsのCOOを務めながら、東北大学の准教授としても活躍している方です。

会社を設立したのは2018年7月で、さまざまな企業のビジネスAI活用の支援をされています。

主な事業として、

  • AIを分かりやすく伝える教育『AMATERAS EDU(アマテラスエデュ)』
  • AIを簡単に使えるソフトウェア『AMATERAS RAY(アマテラスレイ)』

これらサービスの提供を行っています。

また、大学でのAI人材の育成にも力を入れており、東北大学の新入生2400人に対し、AI・データ科学の基礎教育コンテンツ『AIMD for Future』を提供を開始したそうです。

これからの時代、なぜAIが必要とされているのか?DXとAI

これからの時代にAIが必要とされる理由を高橋氏は、次のように語っていました。

「データやAIを活用しないと、課題解決や新しい価値の創造ができない時代になってきた」

現代においては、モノをたくさん作って売る会社よりも、データを活用して1人ひとりに適切なモノを提供している会社が評価をされているとのことです。

 

しかし、日本はデジタル化の波に乗り切れておらず、世界のトップ企業ランキングにも名前が載ることがなくなってきました。

こうした状況を打開するために、AI人材の育成が必要になってきます。

 

AIをビジネス活用するためのAIの理解(AIでできること)

AIの定義は、会社や人によって解釈が違う。だからAIの導入が進まない。

大事なのはAIに対する共通理解である。

と語る高橋氏。

そのためには『まず「AIでできること」を理解する必要がある』と話していました。

高橋氏の説明によると、AIでできることは「分類」と「予測」の2つであることが分かりました。(教師あり学習の場合)

 

これまでベテラン社員さんがやっていた業務を学習させ、AIモデルを作った事例がたくさん載っています。

 

世の中のAIを分解してみよう!

講座の中盤で1つ目のワークショップが行われました。

AIを正しく理解するために、世の中のAI関連ニュースを取り上げて、分解するという内容です。

 

まずは上記のようなメディアで「AI予測」や「機械学習」といったキーワードで検索し、その中から1つ記事を選びます。

AI関連のニュース記事を読み解いて、フレームワークに落とし込み、どんなデータを使ってどんな結果が出てくるのかを考えます。

こういった練習を日頃からしておくと、AIに対する目線が変わってくるとのことでした。

 

【擬似体験】AI予測モデルを作ってみよう!

つづいて実際にAIモデルを作る擬似体験を行いました。

高橋氏が事前に用意してくれた上記の題材を使って、新規出店の売上予測モデルを作ります。

 

上記のExcelファイルにまとめられたデータを使用します。

使用するツールは、株式会社aiforce solutionsが開発したソフトウェア『AMATERAS RAY(アマテラスレイ)』です。このAMATERAS RAYでは、難しいプログラムを書かなくてもボタンを押していくだけで機械学習を行えます。

 

実際に数値を算出している様子です。

 

こちらが予測結果です。2,000店舗目の売上予測は約591万円になりました。

その後、講座の終盤で2つ目のワークショップが行われました。フレームワークを使用して、自分の業務にAIを活用するためのプロセスを理解していきました。ワークシートの空欄部分に情報を埋めていき、AI活用の可能性を探る内容となっていました。

まとめ

今回の講座では、シビックテックやAIの必要性について多くのことを学べました。

社会課題の解決や新しい価値を作り出すためには、データやAIの活用が必須になってきています。しかし、言葉だけが一人歩きして、間違った認識をしている企業や人がいるのも事実です。まずは正しく理解して、みんなが共通認識を持つことが大事だということを教わりました。

AIをビジネスに活かす知識を持った人材が高知県でも増えてきているので、今後は組織の垣根をこえて、地域課題の解決やビジネスの成長につなげるための技術活用が進んでいってほしいと思います。