双方向のコミュニケーションで盛り上がる新感覚のオンライン授業で、最新IT技術を実感!

2020.12.10 高知大学
ITビジネスマーケティング入門

「今日の授業はスマートフォンを使って双方向の授業を進めていくので、手元に準備してください」と始まった、マイクロソフト株式会社、西脇資哲氏のオンライン講座。「今は集まって授業ができない状況ですが、高知に居ながら世界中の教育カリキュラムを手にすることができる時代になりました。今後、大学の授業は完全オンライン化すると思います」と、話します。
画面に表示されたQRコードを読み取ると、チャットアプリが立ち上がり、コメントや👍や❤などのアイコンを送ることができ、それがリアルタイムで画面に表示されます。学生が質問すると西脇氏が即座に答え、おもしろいアイデアや素晴らしい取り組みには👍があふれ、雑談を交えながら一体感のある授業になりました。
最後に西脇氏が、「今日の感想は?」と尋ねると、「90分あっというまでした」「オンラインの良さがわかりました」「こんなに参加しやすい授業は初めてだった」「楽しかった」「発言しやすい」「デジタルの意味を考えさせられた」「対面にはない良さがあった」「想像以上にデジタル技術が進んでいた」という文章が画面いっぱいに流れました。

「最新ITでつくる、私たちの社会」

日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員 エバンジェリスト 西脇資哲氏

私は、日本マイクロソフトの業務執行役員であり、エバンジェリストです。
エバンジェリストとは、伝道師で、企業の戦略や魅力、製品の価値や特徴、技術を世の中に広める役割を担っています。プレゼンテーションに関する本も数多く出版しています。

ドローンの普及活動も行っています。
こちらは高知県の早明浦ダムですが、大変美しいところでした。

これからは、空の産業革命がやってきます。乗用ドローンがまもなく発売され、世の中はどんどん変わっていきます。

現在のマイクロソフトについてお話します。
本社オフィスでは8万人が仕事をしていますが、まったく人がいません。アメリカは感染が拡大し、大変なことになっています。
私たちは今、何をするべきか。

まずは感染を食い止め、生活を元に戻し、新しい様式に変えていかなくてはなりません。
IBM、Amazon、Google、Microsoftは、感染を食い止めるための研究や活動ならばすべてのしくみを無料で協力しますという約束をしました。アメリカの州政府や地方自治体に、Covid-19の追跡システムを提供しています。日本では、新型コロナウイルス感染症対策室と協定を結んでいます。

日本のマイクロソフトのオフィスでは、入館する際に携帯電話による健康チェックを受けなくてはなりません。健康であれば、その日に限り有効な証明書が発行されて、入館が可能になります。

今日は小学校のオンライン卒業式に行ってきました。今後、入学式や卒業式はオンラインになります。オンライン?と思うかもしれませんが、オンラインの方がいいことがあります。卒業証書授与の瞬間をいろんな角度から撮っていて、遠くの親戚や家族など、みんなが特等席で間近で見ることができ、準備や後片付けも必要ありません。
学校行事が変わってきた、空の産業が変わってきた、働き方が変わってきた、授業のやり方が変わってきた。この変化を加速させたのはCOVID-19です。
この2カ月で2年分の大きな時代の変化が起きました。これからもバンバン変化が起きる、そういう時代に来ていることを理解してください。

まず、デジタイゼーション(デジタル化)とデジタルトランスフォーメーションについて理解をしていきましょう。

カメラを例にとると、フィルムが電子データになることがデジタル化ですが、みなさんに学んでほしいのは、デジタル化によって新しい価値や体験が生まれるデジタルトランスフォーメーションです。

これがなかったら、YouTubeやTick Tockはなかったし、FacebookやInstagramもありませんでした。かつては、写真を撮って儲かるのは写真家やルポライター、写真集を出している人たちでしたが、写真のデジタル化によって、世の中に新しい体験、新しい価値が生まれ、新しい職業が生まれ、新しいお金持ちが生まれたのです。

こちらはケネディ大統領暗殺に関する30万ページにも及ぶ資料です。犯人「oswald」の名前で検索すると、その部分を見つけ出すことができますが、これは紙がデジタルになっただけのデジタル化に過ぎません。

デジタルトランスフォーメーションでは何が起こるか。
人工知能はこのすべての文書を読解し、人々の関係性を表すピープルグラフを作り、オズワルドと最も近しい人物を予測することができます。そのうちの一人、シルビアデュランをクリックすると、オズワルドとシルビアデュランの両方が登場する資料がピックアップされます。

今後、みなさんの論文評価も変わってくるでしょう。どんな構造になっているか、どこからの引用が多いか、正しい評価をしているかなど、人工知能が見るようになると思います。

デジタル化したものは、普及の速度が違います。車は80%普及するまでに50年、パソコンは30年かかっています。
5000万人のユーザーを獲得するまでにかかった期間は、飛行機は68年、車は62年、クレジットカードは28年、テレビは22年。ところが、ツイッターは2年、facebookは3年、ポケモンGOは19日。

みなさんも、素晴らしいものを作れば同様のことができます。一人に100円のものを1個買ってもらうと、50億円が手に入ります。そういう時代になっています。

そのためには、柔軟な考えが必要です。イノベーションはまったく新しいことではありません。鉛筆の製造では、書いた後は必ず消すということに気づくと新しいものが生まれました。

音楽プレーヤーに電話の機能を組み合わせたiphoneも同様のイノベーションです。

いろんな企業がイノベーションに生き残りをかけています。
ソニーは電気自動車を作り、トヨタはスマートシティを作っています。実際に富士山の麓に数百人が住むスマートシティの建設が始まっていますが、その写真には車は1台も写っていません。

ヒュンダイのスマートシティにもクルマはありません。どちらも空に移動体があり、ドローン革命が起きていることを示しています。

今後注目されるのは、次の4つのテクノロジーです。

まず、ビッグデータについて見てみましょう。

こちらは、ヨーロッパで走っている3000台のトラックをリアルタイムで見ています。アラートを示す赤いアイコンをクリックしていくと、カラザックさんが運転するトラックの情報に行き着き、あらゆるデータを見ることができます。この車は、クーリングユニットに不具合があり、エンジンオイルも注意が必要な状態になっていることがわかります。このサイトから電話をかけ、運転手に現状を伝えることができます。
運転手は安全に走行することだけに集中する、そんなシステムです。

これはスマートフォンの位置情報のビッグデータを元にした、緊急事態宣言後の外出率の変化です。

こちらは、Yahooが「のどが痛い」「咳が出る」「熱がある」「頭痛 病院」などのワードを検索している人の位置情報を地図で表していて、どこで医療が逼迫しているかががわかります。

昔は病院からもらっていた情報が、今は患者が病院に行く前にわかります。YahooやGoogle、AmazonやMicrosoftのIT技術により、医療が逼迫する地域や感染の可能性がある地域を突き止めることができました。

では、なぜこのようにビッグデータが拡大してきたのでしょうか?
これには三大理由があります。

これらの普及によって、世の中に存在するデータの90%が直近2年の間に生まれています。
このデータを生かすか殺すか。
諸外国のデータ活用リテラシーは高く、東南アジアも高いです。ですが、日本はとても低いです。韓国では、大学生がわずか6日間で、公開されている位置情報を使って新型コロナウイルス感染者の移動経路を追跡するシステムを、作成しました。日本ではできません。

なぜ日本では活用が遅れているでしょうか?
できるのに後回ししている、リスクを恐れて踏み出せない、情報を知ろうとしないなど、いい意見が出ましたね。みなさんは恐れず、リスクに立ち向かい、法律を変える人になってください。

ビッグデータを生み出すのは、スマートフォンとIoTです。あらゆるものがインターネットにつながり、データを生み出します。

ビルや、工場、店舗もインターネットにつながっていて、「BEMS(Building and Energy Management System)」を使って建物や地域内の消費エネルギーを可視化し、空調や照明を自動制御し最適化しています。

こちらのアメリカのエレベーター監視システムは、3基のエレベーターの動きを見ています。

アラートアイコンをクリックすると、人工知能が8日後に故障が発生することを予測しています。この情報を元に、故障する前に交換すれば、故障の修理や定期点検は不要になり、人の安全も守れる。そうすると、ビジネスが変わってきます。
日本でも、竹中工務店や鹿島建設、大成建設などが取り組んでいます。

IoTは家畜生産現場でも活用されています。

牛の足にセンサーをつけて歩数のデータを取り、16時間前に繁殖期を予測します。繁殖期を迎えた牛同士をマッチングし、繁殖を行っています。これまでは、長年の経験を持つ人しかわからなかったことですが、人工知能がその代わりをしています。

アメリカでは人への活用が進み、予防医療が行われています。ニューハンプシャーダートマス医療センターでは、約1万人の患者さんの遠隔医療を行っています。

血圧計やスマートウォッチなどで取得した健康データを医療センターに送り、人工知能が12時間以内に体調が悪くなる人を予測します。

人工知能は、音声認識や文章の理解も進んでいます。

人が話す言葉を聞き取って文章にし、さらにそれを翻訳することができ、精度もかなり高いです。

こちらは画像でのデータ入力です。

iphoneのExelから、紙に書かれた数字を取り込むと、画像を認識して自動的にデータが入力され、作表してくれます。さらにグラフを作成し、パワーポイントに貼り付けるとプレゼンテーションに合ったデザインまで提案してくれます。そんな時代になりました。

海外では、アルミホイールの写真から劣化状況を分析し、中古車査定ができるようになっています。

画像解析は医療分野での活用が進んでいて、乳がんや糖尿病網膜症などの診断に使われています。医者が画像を読むよりも、人工知能が読んだ方が正確だといわれています。

スターバックスでは、空間にいる人の人数や、表情や年齢、性別などを認識するシステムが導入されます。

日本ではサマーランドに同様のシステムがあり、時間あたりの客の人数や性別を読み取り、今、園内にどんな顧客層がいるかを分析しています。

その他の活用例を見てみましょう。

ガソリンスタンド‥‥画像からタバコとライターの所持を検出し、アラートを出して給油をストップし、爆発を未然に防いでいる。
病院‥‥カメラの画像から徘徊の患者さんを見つけて知らせるシステムがあります。
工場‥‥施設内を撮影するカメラが、フォークリフトがドラム缶に接触してオイルが漏れだしたことを検知して管理者に伝え、工場内の安全確保に活用されている。
店舗‥‥顧客の顧客の距離を監視し、ソーシャルディスタンスを確保できない場合は入場制限をかける。
交通違反(中国)‥‥通行状況をAIが監視していて、違反者は特定され顔や名前が公開される。
ライブ会場‥‥ステージカメラで参加者の性別や年齢、表情や感情を読み取り、観客の感情の変化についてデータを取得。観客の状態を把握しながらセッションをすることができる。

こちらは大学の授業です。

カメラの画像からまぶたが重くなったり、ノッキング動作をする人、寝ている人を特定することができます。これは、寝てしまうような授業をする方がダメだという先生の評価につながります。

最後にバーチャルリアリティー、仮想現実について話をします。
こちらはボーイング社。頭につけたヘッドセットがいろいろなものを映し出しています。

この二人の間には飛行機の車輪が見えていて、それについて会話をしている。

こちらは両手で飛行機の整備をしながらマニュアルを見ている。

こちらはバーチャルリアリティーのコックピットで飛行機の操縦訓練をしている。

両手で作業しながらマニュアルを見ることができるので、飛行機の点検や線路の点検でも使われています。

トヨタでは塗装の膜厚検査で使われており、点検カ所にシールを貼る・はがすという作業がなくなり、速く正確に検査を実施できるようになりました。

品質が高くなれば高額で販売でき、早く出荷することができます。

建築物の中身を可視化したり、建築前の建物を3次元で確認したり、部屋の気流シミュレーションなどにも活用されています。

コンピューターによって、今まで見えなかったものが見えるようになってきています。

最後に、みなさんに、最新ITで何をやってほしいか。使うのではなく作ってほしいのです。
ITを学んで世の中の変化を理解すると、まったく想像していなかった仕事が必ず生まれます。みなさんがどんどん社会をリードしていってほしいと思っています。頑張ってください。

終了後、受講生に対して行ったアンケートでは、次のような感想が寄せられました。

【最も印象に残ったこと】

・さまざまなビッグデータの活用事例が印象的だった。

・現在IT化はどんどん進んでいるが、目的を持って作られたITがほとんどで、急に起こった問題や課題に対応できるAIはまだないという話が印象に残った。

・データは国境を超えて世界の裏側の情報まで把握することができる。コロナと共に生きなければならない時代に役に立っている。

・日本はデータの活用が世界最下位で、そもそもビッグデータが少ないという事実に驚いた。日本もIT化が進んでいることを感じていたので、世界に比べてまだまだ遅れていることが衝撃だった。

・体調が悪い人がわかるシステム、さらに体調の悪化が予測できることにも驚いた。

・本田圭佑がITビジネスに多くの投資をし、ITビジネスやプログラミングについてたくさん勉強していること。広い視野を持って学ぶ姿勢を見習いたい。

・エレベーターの故障予測や牛の繁殖予測など、AIは学習以上のことをできることがわかった。人間のアイデアが何よりも重要である。

・映像とインターネットがあれば誰でも活動やイベントに参加できる。世界中のさまざまなビッグデータが簡単にリアルタイムで見られるということが印象的だった。

・コロナ禍の2カ月で、2年分に匹敵するデジタルトランスフォーメーションが起こったという話が印象に残った。未曾有の危機であるが、一気に時代が進み、あらゆる分野で新しい様式に進化する機会になったと感じている。

・今回、初めて「エバンジェリスト」というものを知った。企業活動をする上で重要な存在。しっかりと理解できてよかった。

・人工知能は、画像認識、音声認識、読解力など人間の能力を超えている。将来性が高い。

【ITビジネスの将来について考えたこと】

・今後、ビッグデータの蓄積が進めば、人間の行動はすべて監視されるのではないか。しかし、日本は人権や個人情報などの規制が他国と比べ厳重であり、それをどう解釈するかがカギとなるだろう。

・IT化が進むことは、人間の能力が低下するのではなく、新たな課題や問題に取り組む時間が増えること。より人間の生活を豊かにすることができるのではないか。

・ITは人間の年齢や性別、顔の表情から感情までも読み取れるほど発達している。さらに進化を続け、活用する国や企業が増えていくだろう。

・今後、犯罪者の特定や危険人物の予測ができるようになるのではないか。

・建築や医療など危険が隣り合わせの現場では、AR技術やAIの計算機能が無為な犠牲や無駄な出費を抑えられる有効な手段・ツールになるのは明らか。失敗という最大のコストを削減できると感じた。

・Pythonなどデータに関する知識を身に着けておけば必ず役に立ち、自分の将来性を拡大できると感じた。また、データを分析するサイエンティストなどの職業は必ず需要が高まると確信した。

・日本は早急に法の整備や環境の改善、ITに対する考え方を変えていく必要がある。

・大学の授業も今回のようにコメントを自由に送れるようにしてほしい。SNSのライブ配信などを活用して大学活動がより活発になればいいと思った。

・検索履歴でのビッグデータ取得は画期的。SNSの投稿を活用して病気の予備軍を発見するシステムを応用すれば医療に貢献できるのではないか。

・今までのどの講義よりも面白く、興味深かった。一緒に授業を受けている同級生がどう思っているかなど身近に知れて楽しかった。

・授業の構成がとても面白く、画面から目を逸らすことにない形式だった。オンラインで学ぶことの意味を教わる授業だった。

・ハードウェアとディープラーニングを掛け合わせて、さまざまな作業をより効率よく、安全に行うことができるようになるのはおもしろい。

・山間地域など、デジタル技術を活用すれば生活が豊かになると思うが、導入されていないのが現状。その理由は人材不足なのか、知識不足なのかが気になる。

【知りたいこと】

・プレゼンの上手なやり方を教えてほしい。また、実際にAIなどを活用するにあたり、障害になるようなことがあるのか知りたい。

・何でもデータ化できる世の中。逆にこれだけはデータ化できないというものがあれば知りたい。

・日本のデータ活用率は世界最下位だと言うが、これを上昇させるには個人個人がどうすればいいのか。考え方の文化を変えていくのはかなり難しいと思う。

・生産のスピードが上がることで起こる産業への影響はどのようなものか。

・海外のITに関する法律と日本のITに関する法律の違い。どの部分が日本の発展を遅らせているのかを知りたい。

・ビッグデータから得られる情報は膨大だと思うが、その正確さや信頼性、質はどうなのか。