AIビジネス活用講座(1日目)開催レポート

令和4年11月10日、AIをビジネスに活用するための知識やスキルを学ぶことを目的とした「AIビジネス活用講座」の第1日目が、ちより街テラスにて開催されました。

昨年度まではコロナ禍を考慮し、主にオンラインで実施されてきた講座ですが、講師の方々の「受講者からの相談に、よりきめ細やかに対応できるようにリアルで開催したい」という思いもあり、今回は感染対策に取り組みながら会場で開催する運びとなりました。

講師を務めるのは、株式会社zero to oneの代表取締役CEOの竹川隆司氏と、AI inside株式会社の高橋蔵人氏です。

竹川氏はAIをはじめとする高度AI分野の人材育成に取り組んでおり、東北大学の特任准教授や経済産業省のデジタルリテラシー標準検討会の委員などを務められています。

高橋氏はAI活用のコンサルティングをはじめ、大学や企業においてAI活用人材の教育講師を務め、これまでに2000人以上のAI活用人材を育成してきました。

お二人の講師の自己紹介の後は、受講者それぞれの自己紹介タイムです。名前や所属先だけでなく、これまでのAI・データの活用経験、今回のプログラムに期待することなどが語られました。

自社での取り組みがスタートしたばかりの人、取り組んでいるものの悩んでいる人、まさにこれからスタート地点に立とうとしている人など状況はさまざまですが、今回のプログラムによって「AIを活用して、自社の事業をより良くしたい」という思いは共通しています。

リアルな学びを大切にする

自己紹介の後は、竹川氏より本講座の目的やプログラム内容について具体的な説明が行われました。本講座には主に三つのポイントがあります。

《1》AI基礎の習得とG検定取得

受講者はそれぞれの会社から任命を受けた、いわばAI活用におけるマネージャー的役割を担っています。そこで、AIの歴史や概念などマネージャー層として必要なAI基礎知識を幅広く理解していきます。そのスキル証明として、日本ディープラーニング協会が実施する「G検定」の取得も目指していきます。

《2》自社のAI活用アイディアの具体化

地方の中小企業によるAI活用事例を学びながら、自社のビジネスに当てはめてAI活用のシナリオを考え、データ取得やアイディアのブラッシュアップを通して活用に向けた一歩前進を目指します。

《3》講師やメンター、ゲスト講師からのリアルな学び

本講座では、講師やメンター、さらにゲスト講師も会場に訪れ、受講者と直接語りかけることを重視していきます。他の地方や各業界で、AI・データ活用を実践している先駆者と受講者が会い、課題設定から実際の行動までの過程、現状や課題など、リアルな情報を得てもらうことを目指します。

講師のお二人からは、単なる成功事例ではなく、地方で、そして、高知県で活用できるAI・データ活用事例をピックアップして講座が行われることが語られました。これに、自己紹介で「デジタルの専門用語や、難しい勉強に苦手意識がある」と言っていた受講者の表情も幾分和らいでいるように見えました。

「AI」って、なんですか?

「では、さっそくですが、みなさんで考えてみましょう!」と受講者に投げかける竹川氏。

それぞれのデーブルごとに「AIとは何か?」を話し合います。

AIという言葉そのものは普及し、そのイメージも“なんとなく”広まってはいますが、実際に何をするものなのかを考える機会は、意外に少ないものです。

何も書かれていない白い紙とペンだけで、AIとは何かを考えて書き出し、各テーブル上で発表を行います。言葉を書いて説明する人もいれば、図式を描いてイメージを伝える人もいます。

そして、各テーブルで代表者を一名決めて、全体でも発表を行いました。自分のなかのイメージを具現化しながら、さらに他の受講者の考えも知ることで、これから学ぼうとしているAIについて多角的な視点が養われていきます。

その後は「AIの歴史と概念」について講師のお二人からレクチャーが行われました。

「入力されたデータに基づき、《分類》または《連続値》の予測を行って、何らかの出力をするのがAIである」という基本的な概念が、言葉や図式で解説されます。

AIを理解する上で避けて通ることのできない「分類」と「連続値」ですが、少し難しい話となります。

そうした中で印象的だったのは、講師のお二人による分かりやすい解説です。

例えば、2歳になる竹川氏の息子さんが「トラックやタクシーなど車の種類を見分けて単語を使い分けるようになったのが《分類》、歩きながら視界に流れる景色を見てもうすぐ公園に着くことが分かるようになったのが《連続値》」といった、身近な話題も交えて解説が行われ、受講者は大きくうなづいたり、細かくメモを取りながら聞き入っていました。

講師から今後の意気込み

本講座について、講師の竹川氏と高橋氏に初回の感想や今後の意気込みについて伺いました。

▶︎竹川氏より

「初回は、受講者のみなさんそれぞれがどういった目的を持って本講座に挑まれているかということも知りたかったですし、我々がどういった目的で本講座を行っていくかということもお伝えしたかったので、そういった部分に時間を使わせていただきました。

みなさん、それぞれの事業においてなんとかAIを活用していきたいという気持ちがおありですので、本講座を通して《AIを自社で活用する》という具体的なイメージを持ち、そのスタートラインに立てるまでにしていきたいと考えています。

また、感染状況を見ながらにはなりますが、今回はリアルでの開催にこだわっていきたいです。というのも、やはり人と人との繋がりから新たなコラボレーションが生まれますし、デジタルの領域ではそういった人同士の連携が生きてくるケースも多いです。ただ知識を身につけるだけではなく、リアルな場からも何かが生まれていくと嬉しいです」

▶︎高橋氏より

「初回は、受講者や私たち講師がコミュニケーションを図り、チームビルディングを行う場であると捉えています。まずは全員が目線を合わせることを大事にしたいと思いました。また、AIの基礎的な内容についてもお伝えしましたが、それによって考え方だけでなく語彙力なども身につき、ご自身の身近な言葉としてAIのことを語れるようになるのではないかと思います。

本講座は《実践的である》ということが特徴です。受講して終わりではなく、みなさん自身の考えや言葉によって取り組んでいける状態にしていくことを目指し、これから続くプログラムにも取り組んでいきたいです」