地域デジタル化人材育成講座-高知市会場-

令和3年の4月から11月にかけて地域デジタル化人材育成講座を開催しました。本記事は10月13日開催の第5回デジタル化ツール導入事例紹介講座をレポートします。

会場の様子

講座概要

 この講座は、日頃から経営者に接する機会の多い商工会議所、商工会の経営指導員や金融機関、自治体等の職員を対象とした講座です。受講生がデジタル技術を理解し、経営者に提案できるスキルを身につけることで、県内企業のデジタル化を促進することを目的としています。令和3年4月から11月にかけて4会場(高知市・安芸市・四万十市・オンライン)で行いました。経営指導員、金融機関、社会保険労務士、行政職員など、120名に申込み/参加いただきました。

全5回の講座の内容

 5回の講座を通して「ITとは何か」という全体像から、具体的なITツールの使い方、導入の方法などを学び、 実際に事業者へのヒアリングやITツールの提案なども行うことにより、現場で活躍できる人材を目指します。

【第1回】
デジタル化基礎講座

<ゴール> 
・ITの定義、よく使う言葉の意味が理解できる
・地域課題を解決できるトレンドを理解できる
・チャットワークを活用することができる

<プログラム> 
1.ITリテラシーとは何か?
 ①ITとは何か?
 ②IoT、ICTなどの言葉の意味は?
 ③IT業界は大きく4つに分類する
 ・インターネット業界の概要と役割
 ・情報処理サービス業界の概要と役割
 ・ソフトウェア業界の概要と役割
 ・ハードウェア業界の概要と役割
 ④DXの定義と重要性は?
 ⑤テレワークの定義と重要性は?
2.最新トレンドを使って
  地域課題を解決した事例紹介
3.最新のビジネストレンドの実践編
 実践:Chat Workを使ってみる

【第2回】
デジタルツール選定講座

<ゴール>
・DXを推進する一歩目が理解できる
・使えるデジタルツールを知ることができる
・デジタルツールの選定方法が理解できる

<プログラム>
1.デジタル化の取組が進まない中小企業にやるべきこと
 ①デジタル化推進のための意識レベル別対策
 ②すぐ導入できる無料ツールの紹介と導入方法

2.中小企業のデジタル化を推進手順
 ①導入までの3ステップ
 ②ヒアリングで確認すること
 ③実践:ヒアリングシートを使ってみる

3.デジタルツール選定の仕方とポイント
 ①ヒアリングシートツール編の解説
   ・ ホームページ
   ・ オンラインストレージ
  ・ グループウェア
  ・ ビジネスチャット
  ・ 会計・経費精算
  ・ 勤怠管理
  ・ ネットショップ作成アプリ 
  ・ POS:汎用
  ・ 決済(QR)
  ・ 予約管理
  ・ 販売在庫管理 
  ・ 顧客管理・営業支援
 ② 実践:ツールの質問を答えてみる
4.次回の宿題
 ①ヒアリングシート使って、
      中小企業にヒアリングを行う

【第3回】
デジタルツール導入・フォロー講座

<ゴール>
・ヒアリングのイメージが明確になる
・デジタルツールの選定の質が高まる
・デジタルツールの導入イメージが明確になる
・デジタルツールのフォローイメージが明確になる

<プログラム>
1.宿題の確認
 ①無料ツール導入における課題の洗い出し・解決策
 ②ヒアリングシート使っての疑問の解消
2.デジタルツール選定のトレーニング
 ①ケーススタディー:A社に提案してみる
 ②ケーススタディー:どのツールがいいか?提案してみる
3.デジタルツール導入・フォローアップ
 ①導入チェックシートの説明とポイント解説
 ②フォローチェックシートの説明/ポイント解説
4. デジタルツール比較表の作成
 ①デジタル化ツールサービス紹介 *実践:比較表の作成
5.宿題
 ①導入事例を作る

【第4回】
導入企業成功のポイント講座

<ゴール>
・デジタル化の課題と解決策が理解できる
・デジタルツールの導入企業の成功事例を知ることができる
・デジタルツールの導入イメージが更に明確になる

<プログラム>
1.中小企業のデジタル化の課題と解決策
 ①現状と課題
 ②導入事例
 ③成功のポイント
2.導入企業における課題と解決策・効果
    実際の導入企業3社の担当者に登壇してもらう
  ・ オンラインストレージ
  ・ グループウェア
  ・ ビジネスチャット
  ・ 会計・経費精算
  ・ 勤怠管理
  ・ ECアプリ
  ・ POS:汎用
  ・ 決済(QR)
  ・ 予約管理
  ・ 販売在庫管理
  ・ 顧客管理・営業支援
   

第5回】
デジタル化ツール導入事例紹介講座

<ゴール>
・デジタルツールを導入した事例を知ることができる
・デジタルツールの効果的な活用方法を知ることができる
・デジタルツールを活用した先を理解することができる

<プログラム>
1 .デジタル化ツールのご紹介
 ① 在庫管理システム“ SmartMat Cloud ”のご紹介
    (導入事例/サービス紹介/効果/ポイント)
 ②予約管理“ LINE 公式アカウント ”のご紹介
    (導入事例/サービス紹介/効果/ポイント)
 ③ 請求書管理“ Bill One ”のご紹介
    (導入事例/サービス紹介/効果/ポイント)

第5回 デジタル化ツール導入事例紹介講座

 はじめに講師の加賀さんから講座内容の説明があった後、3社からデジタルツールが紹介されました。今回は、在庫管理システム、LINE公式アカウント、クラウド上の請求書管理システムそれぞれの導入事例と特徴をお話いただきました。各サービスの説明後は参加者の方から質疑応答が多くあり、参加者の関心の高さが伺えました。

在庫管理システム“ SmartMat Cloud ”のご紹介

 1つ目のツールは株式会社スマートショッピングの後藤さんから紹介いただきました。

 紹介いただいたのは、どこにでも置けて、多様な商品の重量や個数を計測できるIoT機器を使用したクラウド上の在庫管理システムです。在庫確認のために倉庫に行く作業は不要になり、ブラウザでどこでも最新の在庫量を確認できます。スクリーンに映し出される実際の管理画面等を見ながら製造業やホテル、歯科医院等での導入事例を参加者は熱心に聞いていました。

 事例紹介後の質疑応答では「1つの機器で複数の商品は管理できるのか」「販売・生産管理システムと連携している例はあるか」と、導入を想定した具体的な質問がありました。

“ LINE 公式アカウント ” のご紹介

 続いて有限会社TRADEMARKの新岡さんからLINE公式アカウントについて紹介いただきました。

 LINE公式アカウントは、集客・販促・顧客管理という点で強みがあり、ユーザーと企業・店舗との接点を創出するサービスです。基本機能として、限定クーポンを配信することでリピート利用を促したり、チャットボット機能により来店予約を自動で受け付けたりできます。その手軽さゆえ、ある住宅メーカーでは展示会の来場予約の3分の2が約10分で埋まってしまったそうです。また、既に高知県内のスーパーマーケットや百貨店も導入しており、身近な企業もLINE公式アカウントを活用して集客を行っている事例があるため、新たに導入を検討する県内企業にとっては安心材料の1つになりそうです。

 質疑応答では、昨今需要が高まっているテイクアウトに関する「注文受付窓口の開設も可能ですか?」という質問がありました。

請求書管理システム“ Bill One ”のご紹介

 最後に、Sansan株式会社が提供する請求書管理システムについて、講師の加賀さんから紹介がありました。紹介にあたり、まず請求書に関する業務がコロナウイルスよる働き方の変化(在宅ワーク)や電子帳簿保存法(電帳法)の改正によって大きな転換期を迎えていると説明がありました。

電子帳簿保存法:国税関係帳簿書類(領収書や請求書等)を電子データで保存することを認めた法律

 電帳法の改正等による書類の新たな管理作業や運用の複雑化といった課題を請求書管理システムが解決してくれます。これまでさまざまな形式でやり取りをしていた請求書は全てスキャン(PDF化)されクラウド上で一元管理ができ、経理担当者のテレワークやペーパーレス化の推進に繋がります。また、既存の業務管理ツールと連携させることも可能で、スキャンしたデータ(金額等)をそのまま管理ツールに落とし込むことで入力などの手間がなくなり、経理担当者の負担は大きく減るとのことです。

 従業員100名以下の企業には無料でこのサービスを提供(条件有)しているそうで、新たなツールを導入することに不安を持っている事業者の心理的ハードルを下げるという点でもおすすめしやすいという説明がされました。

 参加者からは書類の読み取り率に関する質問があがるなど、興味深く議論に参加していました。

まとめ

 参加者は全5回の講座を通して、デジタル技術の観点から事業者を支援する力を身に付けられたと思います。新たな仕組みを導入することに不安をお持ちの事業者、どのようなデジタルツールを使えばいいか分からないといった事業者に対して、本講座で得た知識を活かして積極的にデジタルツールの選択肢を提案することにより、県内企業のデジタル化が促進されることを期待しています。