SNSマーケティング人材育成講座
令和3年11月10日、高知職業能力開発短期大学校の生徒を対象に「SNSマーケティング人材育成講座」を行いました。この講座では、株式会社コムニコ マーケティングプランナー 山本春華 氏にご登壇いただき、普段何気なく使っているSNSのそれぞれの特徴や最新情報、テレワークを導入する企業が増えたことで重要となってきたテキストコミュニケーションについてご講義いただきました。

講義内容
- 講師紹介/コムニコについて
- 主なSNSの特徴と最新情報
- SNSをマーケティングに活用するには?
- 信頼されるテキストコミュニケーションの手法
講師紹介/コムニコについて
まずはじめに講師の山本氏のご紹介がありました。山本氏はコムニコでコンテンツクリエイターとしてSNSの企画運用やコンテンツ制作を担当、現在はマーケティング部で自社メディア「We Love Social」の編集を担当されています。

株式会社コムニコ
コムニコHP
https://www.comnico.jp/
2008年に設立され、SNSマーケティング専業の代理店として企業のSNSマーケティングの戦略立案から運用代行までを支援している企業です。豊富なノウハウを生かして、戦略策定からアカウント開設、運用(投稿コンテンツ制作、コメント対応、レポート作成など)、効果検証までワンストップでサービスを提供しています。

2017年12月には高知市に「ソーシャルメディアマネジメントセンター高知」を開設しSNS広告の運用や投稿コンテンツの制作、レポート作成などのオペレーション業務を担っています。
主なSNSの特徴と最新情報
ここからはSNSとは何か、各SNSの特徴やマーケティング活用などの事例についてお話しいただきました。
SNSとは?
SNSとは”Social Networking Service”の略で社会的な人と人との輪のような繋がりを示すサービスで老若男女様々な人が楽しめる双方向コミュニケーションができるサービスです。
まずは、講師から「SNSをやっている方はどのくらいいますか?」と問いかけがありました。ほとんどの生徒が手を上げ、SNS利用が当たり前になっていることが伺えました。
ほとんどの生徒がSNSを利用していました SNSの国内ユーザー数
その後、講師から各SNSについての概要と特徴の紹介がありました。どのSNSも、情報を届けたい層が実際にSNSを利用しているのかなど、ユーザー層を意識していくことが重要とのことです。
LINE
日本国内で最も多く使用されているSNSで、クローズドな1対1のコミュニケーションがメインになっています。企業はLINE公式アカウントや、LINE広告を活用して多くのユーザーにリーチすることができます。
世界全体でのユーザー数は2億1,100万人(Twitter 2021年第3四半期決算より)となっており現在も利用者数が伸び続けているSNSであり、趣味ごとにアカウントを分けているユーザーもいるそうです。拡散力が強い媒体で、インターネット上のバズ(インターネット上で口コミなどを通じて一躍話題となるさま)や炎上が発生したり、ユーザーのツイートをきっかけに商品開発が行われることもあります。
画像を投稿するSNSとして2010年にリリースされ3,300万人(House of Instagram Japan2021より)のユーザーが利用しているSNSで、日本では世界の中でも急激に利用者が増えています。24時間限定で近況をリアルタイムで伝えるストーリー機能やショッピング機能などがあり、10~30代の若年層のユーザーが多いのが特徴です。最近ではユーザーの収益化を支援する機能が強化されるなど、マーケティングツールとしても重要になっています。
2004年に米国でサービスが開始され、数あるSNSの中でも全世界でのユーザー数が最も多いSNSです。しかし、本講座を受けていた生徒の中でもFacebook を利用しているのは1名しかいないようで、日本では若年層の登録や利用が減少傾向にあるSNSでもあります。最近では「インストリーム広告」の機能が追加されるなど、クリエイターの収益化の選択肢が広がりました。
TikTok
若年層を中心に指示を集めている動画投稿SNSで、TechCrunchの記事によると累計ダウンロード数が20億回を突破しています。投稿できるのは15秒から3分までの短尺動画でアプリ自体に動画編集機能が多く備わっているので手軽に質の高い動画を投稿することができます。神奈川新聞の記事によると関東のあるタクシー会社では取締役と部長が音楽に合わせて踊る動画を投稿したところ合計再生回数が1億4,000万回を超え、そのおかげで若年層の採用にも繋がったそうです。
LinkedIn(リンクトイン)
海外を中心に利用されているビジネス特化型のSNSです。世界中のプロフェッショナルを繋ぐことを目的としたサービスであり、管理職など決裁権を持つユーザーが利用しているといった特徴があります。Facebookよりもさらにビジネスに特化されており、求人やキャリアについての情報が発信されていたり経営者などと直接やり取りができるメリットがあります。海外で働いてみたい、外資系に興味があるといった方におすすめだそうです。
SNSをマーケティングに活用するには?

マーケティングとは
一言で言うと「売り込まなくても商品やサービスが売れるようにすること」です。SNSを活用したマーケティングでは、例えばSNSを利用してファンを増やし、信頼関係を構築するなど、ユーザーとの関係性の構築と潜在顧客の育成を行います。
媒体の選び方、ファンの作り方
SNS媒体の選び方としては
- 何をしたい?
- 誰に伝えたい?
- どのSNSで何をする?
といったように、手段より先に目的・ゴールと対象をしっかり設定し、各SNSの特徴やユーザー層などをもとに「どのSNSで何を実施するか」を検討することが重要とのことです。
また、SNSでファンを作るポイントはいくつかあるそうです。ユーザーの投稿に企業やブランドの公式アカウントが返信をすることでその様子を見ている他のユーザーからの好感度を上げ、ブランディングの効果を期待するといった戦略もあるそうです。その他にもユーザーがSNS上に投稿した商品やサービスに関する質問への返答や「いいね」返しなどのアクティブコミュニケーションも重要で、ユーザーがSNS上で商品をレビューしたくなる仕組みづくりも戦略の1つです。
SNSのメリット・デメリット

情報の取捨選択とSNSの特性をしっかりと理解したうえで上手に付き合っていく事が大事になります。一歩間違えるとデマ・フェイクニュースの拡散や個人情報漏洩など、自身が加害者になってしまう可能性もあるので、注意が必要です。講師からはメリット、デメリットとして下記のようなことをご紹介いただきました。
メリット
- 興味関心のある情報を得られる
- 情報が多く暇つぶしができる
- ユーザー同士の交流
- 拡散性がある
- 速報性が高い
- 無料で使える
- 世論を動かすこともできる
デメリット
- デマやフェイクニュースが拡散
- SNS炎上
- 個人情報流出
- 匿名性があり誹謗中傷される
- なりすまし被害
- SNS依存になる
- SNS疲れ
何気なく投稿したつもりのつぶやきが、社会を巻き込む可能性があることを常に意識しておかなくてはなりません。逆に炎上をきっかけに新商品が生み出されることもあります。実際に転売の炎上を受け、転売防止につながる商品が開発されるなど、ニーズの発掘ができた事例もあったそうです。
「SNSについて沢山の情報を見てきましたがいかがでしょうか?これからの社会を生き抜くためにSNSをどう活用していこうか、皆さんにはこれからSNSをプラスの面で活用する方法を考えていただければと思います。」と山本氏からメッセージがありました。質疑応答では「これから新たに出てくるSNSはありますか?」などの質問があり、山本氏からは音声サービスなどこれまでになかったSNSをご紹介いただき受講生の方々の関心の高さが伺えました。
テレワークでのコミュニケーション手法
現在コムニコの社員のほとんどがフルリモートで業務を行っているそうで山本氏が所属するマーケティング部のメンバーは東京オフィスのためチームメンバーと会うのはオンライン上だけだそうです。ここからはそんなご経験をもとにテレワークの実情や課題、伝えるための手法、社内外での実例についてお話しいただきました。
- 2020年以前
- オフィスに出社が当たり前。ビジネスは対面販売が基本で展示会やセミナー、カンファレンスは現地開催。
- 現在
- 会社には出社せずテレワーク。オフィスは縮小され会議はオンライン中心で行う事が増えた。EC活用も増えたりイベントもウェビナーやオンライン展示会へと変化した。
テレワーク主体の働き方でうまれた課題
感染症拡大の折、テレワークが中心となりました。業務の効率化や働き方改革などプラスの効果が期待される一方、課題も沢山あるようです。
調査によると「同僚とのコミュニケーションが減ってしまった」「自宅だとオンオフがしっかりできず業務に集中できない」「テレワークに必要な環境の準備ができていない」といった声やオンラインでの教育体制への懸念もうまれています。
伝える・伝わるためのコミュニケーションに必要な5つのポイント
これらの課題を踏まえて伝える・伝わるためのコミュニケーションに必要な5つのポイントについて教えていただきました。
1.なにを伝えたいのか明確にする
コミュニケーションを取る際に、自分の頭の中の情報をそのまま相手に伝えてしまうと「つまり何を言いたいの?」と上手く伝わりません。頭の中のものを相手にわかりやすく伝えるためには、1度紙に書き出して整理することがおすすめです。
2.相手との理解度を合わせる
自分が伝えたいことに相手が興味関心が無いと一生懸命伝えても流されてしまうことがあります。相手がその事柄をどの程度知っているのか分かった上で伝えることはとても大事なことです。
3.5W1Hを意識する
5W1Hとは、「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」の頭文字をとったもの。伝えたい内容を明確に表すために、この要素に沿って伝えると情報が正確に伝えられます。
4.具体的に例示する
具体性を持たせることで相手が意図を理解しやすくなり、加えて客観的なデータや定量的な情報を伝えることで信用してもらうことができます。
5.シンプルに伝える
テレワークなどオンライン上でやり取りをする場合のテキストは分かりやすく時には要点が分かるように伝えたい事を箇条書きに整理して送信するようにしましょう。一文を短くしたり、一番伝えたいことや質問を最初にしたりすると理解しやすい文章になると思います。
テレワークでのオンラインコミュニケーションのポイント

続いてテレワークでのオンラインコミュニケーションのポイントを解説いただきました。
既読のアクション
全体に向けた社内告知であっても既読アクション(スタンプなど)を付けることで発信者はどのくらいの人数に伝わったか進捗が確認できるので、忙しくても「見ました」という意思表示としてまず反応することが大切です。
URLや画像添付を活用する
テキストだけではなく、URLや画像の添付も行うようにしましょう。具体的な例示として必要な情報をURLや画像などの形で添付して送ることで文字だけで伝えるよりもシンプルで理解しやすいものとなります。
引用を活用する
チャットやメールで複数の質問が来た場合などに便利です。また、グループチャットなどでは複数の質問が混在して流れてしまうので、返信したい相手にメンションを付けて、質問を引用しながら対応することがポイントです。
個人チャットと全体チャットを使い分ける
個人チャットは友好を深めるためや詳細を聞きたいときなど全体に周知する必要がない場合に利用します。お知らせや周知をする場合、全体に協力を仰ぎたい場合には全体チャット、個人的な内容の場合は個人チャットとバランスよく使い分けると良いでしょう。
発言を恐れない
テレワークによりコミュニケーションが上手く取れないといった場合でも些細な質問をすることをためらわず素直に質問し吸収していくことが大切です。
テキスト以外の手法も使う
テキストコミュニケーションは誤解をまねく場合があります。それを防ぐために言葉を慎重に選び、場合によっては電話やオンラインで顔を合わせるなどの工夫をすることで感情を伝えやすくなります。
まとめ
これまで何気なく使っていたSNSにはそれぞれの目的と企業の戦略があり、また、炎上などの危険性は自分たちにも当然あるということを再認識できたのではないでしょうか。受講した生徒の皆さんには、今回の講座を通してSNSマーケティングの分野に興味を持ち「高知にいるからこそできるオリジナルのマーケティング戦略」を生み出してくれることに期待しています。また、今回は高知職業能力開発短期大学校の生徒を対象とした講座であったため、中にはテレワークやテキストコミュニケーションを取る場面が多い企業へ就職する方もいると思います。その際には、今回学んだ内容を思い出して、活躍していただくことを願います。