Society5.0みらい共創ワークショップ2021 -最終発表会-

2022年1月22日(土曜日)、Society5.0関連人材育成講座「Society5.0 未来共創ワークショップ2021」最終審査会が開催されました。

講座の概要

本講座は、全8回の講座を通して、参加者がデジタル技術を用いて地域課題を解決するビジネスモデルを考案し、実践していけるを高知県内に輩出することを目的とした講座です。

2021年10月9日(土曜日)に中間審査会があり、そこで選抜された5チームが今回の最終発表会を迎え、5名の審査員をお招きし、各チームがここまでの取組内容と今後の企画・計画について発表を行いました。講座全体カリキュラムなど詳細についてはこちらをご参照ください。

開会挨拶

高知県商工労働部産業デジタル化推進課長濱田憲司より、以下のとおり開会挨拶がありました。

地域の課題をビジネス手法を用いて解決することは主流になってきています。

そのことによって地域に新しいビジネスが生まれ、雇用が生まれると言う、良い循環が作れると考えています。

今回はまさに、地域課題をビジネスで解決する、実践的なワークショップをやっていただき、非常に良い経験になったのではないかと思います。

また、社員が参加されていた企業の社長様からも、社員にとって良い刺激になって成長しているという感想をいただき、とても良い機会になったのではないでしょうか。

今後も講師、参加者同士のご縁を大事にしていただきたいと思います。

これまで数か月に渡り頑張ってきた結果を発表するということで、受講生の皆さまはもちろん、講師の方々も引き締まった表情でお話を聞かれていました。

各グループからの発表、質疑応答

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、発表会はオンライン・対面の両方に対応したハイブリッド形式で行いました。各チームの発表内容は以下のとおりです。

『Carry SUPER』〜好きなものを、好きなときに、好きなだけ

発表の様子

<ビジネスアイデア>

「好きなものを、好きな時に、好きなだけ買うことができる」というコンセプトで、買い物難民を救うビジネスアイデア。ヒアリングやビジネスモデルを考える中でピボット(方向転換)を繰り返し、最終的には「道の駅など直売所に買いたいものがあるのかを、知りたい時に知れるようにする」というビジネスアイデアが発表されていました。

<収益構造>

直販所からサービスの利用に関してイニシャルコストとランニングコストをいただくモデルになります。

<審査員コメント>

  • 利用をする店舗側のメリットは何か?
  • ペルソナは誰か、山間部の「買い物難民」を救いたいのか、高知市内の人を救いたいのか?

ふるさとワーケーション

発表の様子

<ビジネスアイデア>

「Worcation ワーク×コミュニケーション」というコンセプトで、地域課題を題材とした県外IT企業向け研修事業。地域の人と広く深く繋がりがあるという会社の強みを生かしたアイデアが発表されていました。

<収益構造>

研修の参加者から参加費をとるモデルになります。研修の開催回数を増やすことで売上を伸ばし、スタッフの雇用も増やす中期計画も発表されていました。

<審査員のコメント>

  • 研修に参加した方がどのようなことを持って帰ることができるのか、具体的に提示する必要がある。
  • 研修を受けるターゲットはどのような人か?

『空き家日記』〜あなたの空き家の物語〜

発表の様子

<ビジネスアイデア>

高知県をはじめ地方では空き家が増えており、既存の空き家管理サービスでは解決できない日常管理という課題を解決しようというアイデア。日記をつけるように日常で空き家の様子などを記録するようにして、管理が手遅れになる前に空き家の活用をうながそうという事業でした。

<収益構造>

空き家の所有者と管理者からサービス利用料を取得、空き家利活用者とのマッチング時の手数料や広告主からの広告料金を取って売上を上げていくモデルでした。サービスの利用者を増やしていくことで収益を上げていくので、具体的にどのように顧客を獲得していくのかについても発表をされていました。

<審査員コメント>

  • 受け入れ側の方にヒアリングをしたのか?どのような声があったのか
  • 空き家活用だけではなく取り壊した後の土地活用など他の可能性もありそう

中・高・大学生が、キャリアを考えるためのツールアプリ『Jovie』

発表の様子

<ビジネスアイデア>

高知県内の学生の、キャリアについて考える機会不足、ロールモデルや相談できる人の不足という課題を解決するビジネスアイデア。学生とコミュニケーションを取りたいという企業と、情報収集をしたい学生がコミュニケーションを取れるようなアプリを開発。

<収益構造>

中高大学生に無料でサービス利用をしてもらい、PRをしたい企業からサービス利用料金と採用活用支援費用をいただくモデルでした。

<審査員コメント>

  • 学生と企業はどのように出会うのか。
  • 企業側がお金を払うメリットはその企業に就職をすることだが、就職マッチング機能など考えているか?

『AGRAY SUPPORT』 - 農福連携マッチング支援サービス-

発表の様子

<ビジネスモデル>

「働きたくても働けない人(障害の兆候があるのに障害手帳を持っていないグレーゾーンの方)と、人手不足の農家を橋渡しして高知の農業を支える」というビジネスアイデア。

オンラインでの相談・マッチングを促進し、農福連携コーディネーターをおくことで受け入れ農家のサポートやグレーゾーンの方々が働けるようにサポートをするという事業です。

<収益構造>

ビジネスモデルとしては、マッチングした際の成果報酬と、マッチング・就労サポートを活用した時の利用料金などで収益をあげるモデルでした。

<審査員コメント>

  • グレーゾーン人材は自覚しているのか、自ら登録をするのか
  • ターゲットとする農家さんは余裕がある人じゃないと難しいのでは

どのチームも、ユーザーヒアリングの結果、収益構造や既存サービスとのポジショニング、利用者に提供する価値などを整理して発表されていました。

各グループでの振り返り

グループごとのオンラインでの振り返りの様子

発表の後は、各チームに分かれて本講座の振り返りと、並行して審査が行われました。審査員は別室に移動し、参加者の皆さんはグループごとにオンライン会議を立ち上げて振り返りを行いました。参加者の皆さんはほっとしたような表情で、発表を終えた感想、学んだこと、これから活かすことなどについて話をしていました。

その後、各チームに審査員が入って、フィードバックをいただきました。発表に対する疑問点や、ビジネスを実現するにあたって考慮すべき点、改善点などについて講師からお話があり、参加者の方々も積極的に発言してディスカッションが進んでいました。

結果発表

表彰式の様子

今回の最終発表会では、本講座で生まれたプロジェクトを継続して進めることができるよう、審査員の皆さまより、特別賞をご用意いただき、表彰を行いました。特別賞の内容、受賞チームは以下のとおりです。

特別賞名賞の内容受賞チーム
しぎんサポートプログラム賞会社設立のサポート、融資等を含めた金融機関との取引に関する相談やサポートふるさとワーケーション
空き家日記
高銀サポート賞共創の可能性のある事業者や支援機関などの紹介、マッチングAGRAY SUPPORT
相談賞審査員(よさ来いワイナリー窪内様)と2022年12月末までに1時間×6回の相談会の権利AGRAY SUPPORT
KOKUBAN賞2022年12月までの土曜日(9~16時)のうち、KOKUBAN OFFICEのレンタルスペースを3回目まで使用Carry SUPER
審査委員長特別賞審査員長(SCSK株式会社業務執行役員古宮様)と2022年12月末までに1時間×6回のZoom相談会の権利Jovie
空き家日記

審査員からは、以下のコメントがありました。

全てのチームがこのまま続けていけばマネタイズができる企画ですし、選定をするのにすごく苦労しました。今後も相談していただける機会として使っていただければと思います。「ビジネスアイデアのブラッシュアップや顧客へのヒアリングをもっと行いたかった」との意見もチーム発表からありましたので、受賞されたチームは特典を活用してぜひ取り組みを続けていただきたいと思います。

表彰式の後に、各チームの代表者からプログラムを通して学んだことや感想など、以下の発表をいただきました。

チームメンバーが全員エンジニアということで、アプリ開発をするだけではなく、事業化を目指してマネタイズなどを意識して進めました。エンジニアとして働くだけでは得られなかった経験を得ることができました。

全然違うキャリアを持ったメンバーが集まり、最後までやり切ることができてよかったです。講座が終わってからもチーム同士で集まり、情報交換やコラボなどしていきたいです。

ワークショップ全体をとおして、オンラインツールを使って会えなくても一緒に作業をすることができた。デジタル感度が上がったので、普段の業務などでも活用して、高知県のSociety5.0の推進に役立てたい。他社の方やメンターの方々など、普段業務をしているだけでは交流できなかった方々とも繋がれたので、今後もご縁を大事にしていきたいと思います。

普段関わりのないメンバーが集まり、一緒にやることでとても刺激になった。現場でインタビューをすることで現場の声がとても大事だと感じた。今回は講座の後半からメンバーが増えてプロトタイプを作ることができたが、作り込みすぎてしまい、インタビューの結果によって作り直す必要が出て手戻りが発生した。インタビューをしながらスピード感を持って開発をすることが大事だと感じた。

ワークショップで出会った方と、仕事でコラボをすることができた。現場でアイデアを検証して進めていくことが大事だとわかった。まずは一人マッチングをして事業を形にしていくことを目指していきます。

総評

最後に、審査員長のSCSK株式会社業務執行役員古宮浩行様から総評コメントをいただきました。

今回の発表はどれも素晴らしく、ビジネス化の可能性があるなと感じました。

どうしてそれができたのかというと、チームの皆さんでゼロベース思考ができていたからだと思います。

大企業の多くは、知識があるが故に実現可能性などを考えて思考が止まってしまうことがあります。

何かをするときに、「情報収集、分析、考える、結論をまとめる」というプロセスを繰り返しますが、全体の時間が100あったとして、大企業では情報収集に20%、分析に40%ほどの時間を使ってしまいます。しかも分析の多くは上司や社内説明用の資料を作っている時間になりがちなので、一番大事な思考のプロセスに全体の10%くらいしか使えていません。その結果、イノベーションが起きづらくなっているように感じます。

本来は、情報収集に20%、分析も20%、思考の部分に50%、結論をまとめるのに10%の時間配分でやることが理想です。

今回皆さんは、その思考の時間をしっかりととれたからこそ、限られた時間で素晴らしいプロジェクトを作ることができたと思います。

講座に参加された方の中には、普段の業務で事業立ち上げに関わったことがない方もいましたので、今回の経験や古宮氏のお話はとても参考になったのではないでしょうか。

最後に

本講座では、約半年の講座期間を経て、高知県の課題とデジタル技術を活用した解決策、ビジネスを考えてきました。普段の業務内容や組織を超えて活動したことで、たくさんの学びがあり、人と繋がって視野も広がったようでした。

今回は新型コロナウィルス感染拡大に伴い、会場での参加に制限のある発表会となったため、参加者全員で対面開催することができませんでしたが、今後も受講生同士の繋がりを大事にして、アクションを続けていただければと思います。