デジタル化推進講座「デジタル化を進めるための第一歩」
日本マイクロソフト株式会社業務執行役員として活躍されている西脇資哲氏による講座「デジタル化を進めるための第一歩」を、令和4年9月13日、オンラインで開催しました。
本講座では、デジタル化で世の中がどのように変わっているのか? 、また将来どのように変わっていくのか? をテーマに、中小企業の具体的な事例も交えながら、デジタル化についてわかりやすく説明しました。
プログラム
- なぜデジタル化が必要なのか?
- デジタル化がもたらす産業構造の変化
- デジタル化への第一歩
- 世界のDX事例に学ぶ
- リスキリングの重要性
◆なぜデジタル化が必要なのか?
はじめに、デジタル化に一歩を踏み出すまえに知っておきたいこととして、そもそもデジタル化がなぜ必要なのか、また、デジタル化によってどのような影響があるのかを、近年の世界的な企業情勢や生活環境の変化をもとに、その優位性を解説しました。
コロナ禍において、労働環境の見直しが改めて注目されることになり、国内でもテレワークなどのワークスタイルを導入する企業が増えています。
このように働き方の方法を「選べる」ようになったのもデジタル化による効果の一つ。
デジタル化が加速していくことにより、これまでの働き方や業界の概念が大きく変わり、これらに変革をもたらそうとする企業が今後台頭してきます。
- Amazon
処方箋を紙で受け取るというアナログな工程をデジタル化したオンライン薬局「Amazon Pharmary」のサービスをインドで開始。市販薬と処方薬の注文受注が可能。
また、イギリスで最新のデジタル技術を活用したヘアサロンを開店。AR(拡張現実)機能を使用したカラーリングのお試しミラーなどのサービスが利用可能。
◆デジタル化への第一歩
企業がデジタル化を進めるうえで、肝心となる最初の第一歩である「アナログをやめて、デジタルをはじめる」ということがどういうことなのか? また、大企業と比べたときの中小企業の優位性についても説明がありました。
中小企業の優位性
企業がデジタル化を推進していく際、中小企業やスタートアップ企業は大企業に比べて圧倒的に有利と言われています。その理由は以下の3つです。
①スピードの優位性
- 大企業は意思決定に時間がかかるが、中小/スタートアップ企業の意思決定は速い
- 変化に対しコストが少なくて済む(大企業は組織を動かすのにコストがかかる)
②コストの優位性
- 利用分だけの費用で済む、従量課金のサービスにより、企業規模にあったコストで導入可能に
③ガバナンスの優位性
- 大企業は会社全体の風土・カルチャーを変革しづらく、全員の教育を行い同じレベルを維持するのも難しいが、中小/スタートアップ企業はすぐに社員全員のレベルアップを図ることができる
◆世の中のDX事例に学ぶ
続いて、実際に世の中で行われている様々なデジタル化事例を紹介していただきました。また、それぞれの企業が活用しているIoTやAIを活用した音声認識といった技術についても解説がありました。
- 中小企業でのDX事例(IoT) [計測・制御機器メーカー/大阪市]
機械式圧力計にIoTデバイスを搭載し、これまでのアナログ式計器を取り換えることなく、計測結果の遠隔監視を実現。
- 中小企業でのDX事例(AI・人工知能) [老舗飲食店/三重県]
画像認識/人物認識によるビッグデータを蓄積。AI・人工知能を使って季節・天気・曜日の変動による来店者数予測を実施。
予測的中率は90%超。
- 大手企業でのDX事例(AI・人工知能) [事務機器メーカー/日本]
自社製品にセンサーを搭載し、リアルタイムで製品状態を送信。AIによる故障予測が可能となり、修理も自動スケジューリングすることでダウンタイムを最小限に。
- 地域産業でのDX事例(IoT) [高齢者の転倒検知/四国]
高齢者にIoTデバイス搭載のウェアエアブルデバイスを提供することで、転倒発生を検知し、関係者にアラートメールで共有。
- 地域産業でのDX事例(音声認識) [医療施設/愛媛県]
音声認識に対応した電子カルテを導入。音声をテキスト化するだけでなく、入力した情報をリアルタイムで共有可能。カルテの入力時間を7割削減。
◆リスキリングの重要性
リスキリング(Reskilling)とは「職業能力の再開発、再教育」のことです。
現在、業務のデジタル化・自動化などの新技術に対応できる能力開発をおこなうリスキリングが世界中で行われ始めています。
西脇氏は講義の締めくくりに、リスキリングの重要性を説明するとともに、個人からできるリスキリングと会社が行うリスキリングについての違いについて説明しました。
【リスキリングが重要な理由】
リスキリングは、企業にとっても労働者にとっても新しいアイデアや業務の効率化が期待でき、「生き残り」に欠かせない戦略のひとつとされています。
個人で行うリスキリング
- 隙間時間を活用する
- 多様な学びの方法を活用する
- 徹底して情報のインプットをする
会社が行うリスキリング
- リスキリングを経営方針の中に入れる
- 外部からの学びを増やす
- ITスキルは社会人として必須という考える風土を創る