デジタル化推進講座「DX(デジタルトランスフォーメーション) アイデアソンワークショップ」
令和4年11月2日、高知共済会館にて、DXを実現する技術を学び、その技術をどのように自分たちのビジネスに結び付けるのかといったアイデアを出しあう「アイデアソンワークショップ」を開催しました。今回は31名の方が参加し、DXのアイデアの作り方や、AI・人工知能やビッグデータを使って何ができるかを学びました。
■プログラム
【座学】
- DXを支える技術を学ぶ
- ビッグデータ、IoT、AI・人工知能、仮想現実の概要
【グループワーク】
- 自分たちの周りの経済活動、事業活動を考える
- 課題の発見と解決方法の模索
- アイデアのブラッシュアップ
- アイデアの発表
■講師
西脇 資哲 (にしわき もとあき)氏
日本マイクロソフト株式会社 エバンジェリスト・業務執行役員
ITビジネスコミュニケーション協会 理事
日本デジタルトランスフォーメーション推進協会 アドバイザー
京都大学 iPS細胞研究所 コミュニケーションアドバイザー
プロフィール
マイクロソフトの業務執行役員であり、多くの最新テクノロジーを伝え広めるエバンジェリスト。
「エバンジェリスト」とはわかりやすく製品やサービス、技術を紹介する職種。
他にコミュニケーションやデモンストレーションといった分野での講演や執筆活動も行い、製造業、金融業、官公庁、教育機関などでのプレゼンテーション講座を幅広く手がける。
著書に「エバンジェリストの仕事術」、「プレゼンは “目線” で決まる」などがある。
アイデアソンを実施するにあたって
■ワークショップはグループ(チーム)で行います
■さまざまなアイデアや意見を自由に出し合います
■出されたアイデアや意見には常に”肯定”し、どうすれば実現できるかの意見を出し合います
西脇氏:「今の技術や考えでは想像できないような、実現できないようなこともあるかもしれません、しかし時代はそこから創られます。」
今回のアイデアソンのポイント
■DXを支える技術を使ったアイデア出しに重点を置く
■短い時間に多くのアイデアを出すことを目指す
■実際に(会社では)実現できないことでも構わない
西脇氏:「今日学んでもらいたいのは、アイデアソンという考え方を持ち帰ることです。DXを使ってどんどん会社を変える仕組みを作っていただきたいです!」
まずは8つのグループ内に分かれて、1分間ずつの自己紹介からスタート。
■グループワーク1:魚の絵を描いてみよう
机の上にあるA4の紙と鉛筆に「魚」の絵を描くというお題が出ました。
その結果
- ほとんどが1匹の魚を描く中、6匹の小魚を描いた人がいた
- ほとんどの人が左向きの魚を描く中、1人だけ右向きの魚を描いた人がいた
- 魚の骨を描いた人はいない
- 刺身を描いた人もいる
魚の絵一つとってもいろんな絵になることが分かり、多様性が感じられました。いろんなアイデアを出すということを参加者の皆さんに実感していただき、性別、年齢、こうあるべきという凝り固まった概念を取っ払うことを念頭においていただきました。
■グループワーク2:多様性の認識と受容
次に、各グループでどんな多様性があるのかを確認した結果、
- 血液型が全種類揃っている
- 多様性はあまりなく、全員が同世代で前職がプログラマー
- 20代が2名、50代、40代が1名ずついる
- 職種はバラバラ、血液型は同じ
といったことが分かりました。
- 社内のアイデア出しの際は、いろんな背景の人たちが集まって話し合うのが大事であり、お互いを認識して、受容しながらアイデアソンを進めていきましょう、というお話がありました。
■私たちの周りのIoTと成功例
■グループワーク3:あったらいいな、このIoT
- 進め方
- 各自で可能な限り、あったらいいなと思うIoTをアイデア出し(一人3つ以上)
- グループ内でアイデアを紹介し合い、グループ内のベストアイデアを選出。
- ベストアイデアを模造紙1枚にまとめる
↓
- 隣同士のグループで発表し合い、ポジティブなフィードバックをする
さらに、ルーレットで指名された代表2チームが、アイデアと先ほどフィードバックされた内容を踏まえて発表
- グループワークの中で出ていたアイデア例とフィードバック
- テレビにAIを搭載して表情を読み取る機能をつける
- リアルタイムの本質的な視聴者数の把握、視聴者に刺さる広告の分析などができる
- テレビに限らず、街角の看板やスマホなどにも活用できそう!
■グループワーク4:サスティナブルな社会を実現しよう
- 進め方
◼ グループでどんな社会課題があるかを話し合う
◼ その社会課題解決に使われるテクノロジーを考える
◼ どのように社会課題を解決するのかを具体的に考える
↓
◼ 模造紙(1枚 以上)での説明に必要な項目
- 解決しなければならない社会課題とは?
- どうしてその課題を解決しなければならないのか?
- その社会課題に必要なテクノロジーやビッグデータなど
- どのようなユーザーインターフェース(画面イメージ)か?
- 社会課題が解決されたらどのような恩恵/メリット/利益があるのか?
- それを行うのにベストな企業/団体などのパートナーは?
- ワークで出てきたアイデア
- コロナ禍でフードロスが進む中、限られた資源を大切にするため、流通データを蓄積して需要と供給のマッチングを実現できるテクノロジーを食品メーカーに提示する
- 少子化の進む日本で、持続可能な社会を実現するために、人々の行動パターンのビッグデータとSNSデータをかけ合わせてAI分析ができるテクノロジーを導入し、男女の出会いのきっかけを創出する
といった、絶滅危惧種の保全、社会環境、人口減少に対する課題の掘り起こしと解決策を発表しました。
■最後に講師から
AI・人工知能であらゆることが可能になってきたことで、人間に求められる能力需要にも変化が出てきています。
◼ 憧れや尊敬の対象となるカリスマ性
◼ 先頭に立って前に突き進んでいくリーダーシップ
◼ 過去に全く存在しない事例への対処
◼ 本質的な課題を見つける能力
◼ 驚きやひらめきによる爆発的な発想
◼ 0から1を生み出す力
など、未来に必要な人材のビジョンを描いて、新たなものやサービス、方法を作り出す革新性を磨いていきましょう。
▶︎参加者の感想
- 「日本一のプレゼン」と評される西脇資哲氏のワークに期待して参加しました。ワーク構成がよく、異業種の企業さんとスタートアップについて考え、アウトプット、フィードバックまで行うことで、新しい視点を持てた。
- DXの現状、世界がアップデートしている方向、最新事情を知れた。
- アイディアの出し方、組み立て方を実践できた。
- 他社さんのスタンドポイントや、社内会議の進行が見えて参考になった。
- 業界や自社で固まっている頭をほぐせた。
- 短時間で形にして「世に出す(発表)」することの重要性を確認した。
- 参加された皆さんが活発に、楽しそうにワークをされていたのが、印象的な研修だった。
- DXは自社だけで考えるより、他社さんと共に方向性を探り自社で実行するぐらいの広い視野が必要になると思うので、県の旗振りは有難い。