デジタル変革実践教室(Day1) 開催レポート

令和4年7月21日、デジタル技術を用いた経営変革の講座「デジタル変革実践教室」を開講し、製造業やサービス業など17名の方が受講しました。最初に高知県産業デジタル化推進課長から、開催の挨拶と県の取り組み紹介を行いました。

続いて、高知県産業振興センターデジタル化推進部から、県内企業のデジタル化支援の内容について紹介し、受講者に対して同センターへの相談や活用を呼びかけました。

■講座の流れ

本講座は全12回。県外企業のデジタル化の事例を参考に、受講者に自社の最終的なデジタル化のゴールイメージを持ってもらい、「実現したいこと」を受講者自身の言葉にしていきます。さらに、課題を明確化してデジタル技術の活用の具体的な方法を探っていくとともに、同じ講座を受ける仲間と意見交換しながらデジタル化の計画を作り上げます。

■講座本編

デジタル化の背景・目的

講座の流れの説明が終わり、いよいよ座学のスタートです。

スマートフォンの普及や1人1台パソコンを持つ時代になったことなど、この30年でデジタル技術でできることが格段に広がった社会情勢について振り返り、デジタル技術活用の目的を再確認しました。

  • 一元化・・・ちらばった情報をまとめる。情報がまとまるから探せる
  • 自動化・・・勝手に仕事が進む。何もしなくても進む
  • 可視化・・・情報が整理されて、取り出せる。取り出せるから、判断ができる

うまくいかないデジタル化

「利害関係者に必要性を感じてもらえない」「実際導入すると思っていたほど便利ではなかった」「変化することへの漠然とした不安」「アプリケーションが多すぎて何を選んだらいいのかがわからない」「日々の業務に加えて新しい取り組みまで手が回らない」など、デジタル技術の導入にはたくさんのハードルがあります。

経営者にとってのデジタルとの付き合い方

本講座では自社の課題を明確化し、以下3点を実現します。

たくさんの事例から変革のヒントを得る

続いて、全国9つの企業のデジタル変革の事例を挙げて、各社がどのように業績を上げていったのか紹介しました。
AIの需要予測に基づく自動販売機の商品選定、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するための学習塾のオンラインレッスンへの切り替えなど、それぞれの企業が変革のために実施した活動や実際に取り入れたサービスを挙げ、その結果を見ていきました。すると、売り上げの向上、業務の効率化、顧客体験価値の向上、効率的なマーケティングなど各社さまざまでしたが、実は比較的簡単なデジタル技術を活用した好事例が多いこともわかりました。

休憩を挟んで個人ワークへ

ここからは、受講者それぞれの取り組みの目的や課題が明確かどうかを確認するとともに、課題解決にかかるコストの大小と技術的なハードルの高低を再認識していきました。

さらに、環境の変化や自社の置かれた現在の状況から、変革のために実施したい活動、自社の製品やサービスに与えたい結果、社会・市場に与えたい結果をそれぞれ洗い出していきました。初回の講座では、なかなか書き出すのが難しそうですが、まずラフの状態で構わないのでとにかく書いてみることが大事です。

変革のポイント

  • 自社として10年、20年前から変えてこなかった部分はないか
  • 業界全体として10年、20年前から変えてこなかった部分はないか
  • 10年、20年前から変わらなかった課題はないか
  • 将来的に自社が直面する課題がないか

見えてきた目的と傾向

個人ワークの後、できるだけ業種の違う3人1組のグループに分かれ、グループ内で個人ワークの内容を発表しました。この講座には、サービス業や製造業などさまざまな企業から集まっていますが、業種は違えどコスト削減や人材不足への対応など、デジタル技術活用の目的や方向性が似ているという結果になりました。

デジタル変革を実践した全国の企業の言葉

「変われる会社」と「変われない会社」の違い

  • 一番はやはり社長。社長の理解がない会社は変革のハードルが高くなる。社長がきちんと舵を切ることが大事。
  • システム部が昔ながらのやり方を変えることに躊躇してしまい、ブレーキになってしまうケースも多々あるが、社長がシステムにも詳しくなると合理的な判断を下してくれる。

「DXに期待しすぎない!」

  • DXには「スピード感」や「抜本的な改革」というイメージがあるが、すぐにできると思わずに、従来のやり方をガラリと変えず、少しずつ取り入れていった。
  • 少しずつ変えていき、いつの間にか従来のやり方から変わっていた、というのが自社にとっての理想だと考えている。

「変容・変革の先にデジタルがついてくる!」

  • サービス業やホスピタリティ業において必要なのは「D(デジタル)」ではなくて「X(トランフォーメーション)」。
  • 働き方、ルールの見直し、新事業展開などのイノベーションに取り組んでいたら、後々になってこれはDXだったと気づいた。

初回を終えて

受講者からは「講師の方のデジタル化に関する経験や、その他の事例の話を聞けるのはとても勉強になる。」との感想が挙がっていました。